塩分が付着して問題を生じる塩害は、車のサビや建物の劣化だけでなく、屋外配線のケーブルの信頼性低下や固定具の劣化による脱落などを引き起こします。塩分は水分を吸収しやすい性質を持っているので、金属に付着すると空気中の水分を呼び寄せてしまい、局所的に湿度が上がる形で結果的に腐食を発生させます。影響があるのは金属だけでなく、結束バンドのように樹脂製の素材も同様で、毛細管現象によって素材の深部に水分が吸収され、内部から劣化が進行するケースもあります。塩害は急激に進行することもあれば、緩やかに結束バンドを劣化させることもありますから、被害が目に見える形で表れるまで対策の重要性は理解しにくいものです。
塩害地域の屋外で結束バンドを選ぶ場合は、耐塩害仕様の製品を選択するのが現実的な答えの1つで、長期的に安心して使うことができます。結束バンドにおける塩害の影響は、力が加わる部分から小さな亀裂が生じたり、亀裂の進行によって断裂に繋がります。断裂すると束ねているケーブルが固定から外れたり、脱落することにもなるので注意が必要です。特に建物の高い位置で固定している太くて重量のあるケーブルは、人の頭上に落ちることにもなり得るので気をつけたいものです。
結束バンドの選択1つで設備の劣化や破損、人的な被害を防ぐことができますから、コストだけで安易に安い製品を選ぶのではなく、保守管理や安全性も考慮してトータルで合理的な選択をすることが肝心です。